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マーセッドカレッジ野球部練習限定的再開

 2020年COVID-19の影響でアメリカ大学スポーツもシーズン中止を余儀なくされた。マーセッドカレッジも例外ではなく、長らくの間練習すら行えない状況が続いていた。しかし、921日㈪、マーセッドカレッジ内で初めて野球部が活動再開した。感染対策に細心の注意を払いながら、練習に励む様子を本記事ではお伝えする。なお、野球部の再開は留学生が渡米できるようになったことを意味するものではない。まだまだ、予断を許さない状況が続いている

 


練習体制

 まず、感染を予防するために二つのグループに分かれて練習は行われている。現在の部員数はおよそ35名。例年は60名ほどが在籍するが、今年は学業に専念する学生、祖父母と同居しており感染予防のために今学期は練習に参加をしない決断した学生もおり人数は少なくなっている。1グループ20名弱となり、午後2時から3時半、午後3時半から5時と一時間半ずつの練習となる。

 

練習前、ミーティング

 練習前にコーチ、選手はトレーナー室に行き、検温と簡単な問診を受けなければならない。異常がないと判断されれば選手はグランドへ出ることができる。しかし、通常時とは異なりクラブハウス(部室)は利用できず、ベンチに自分の用具を置くことはできない。2メートル以上の距離を取ることを条件に、グランド内ファールゾーンに各自の道具を置くことが義務づけられ、グラブやバットなどの道具の共有は禁止されている。

 

初日の練習前には監督、コーチ、アスレチックトレーナーから練習における注意事項が詳細に伝えられた。監督からは「今年は先が読めないことが多く、精神的にもフラストレーションを抱えることも多いだろう。しかし、練習を再開するにあたりきちんとガイドラインを遵守することがまずは最も重要なことだ。今は我慢し、できることに注力しよう。全員の協力、徹底した健康管理、姿勢が求められる。また、マーセッドカレッジ内でも野球部が初めての活動再開ということで、他の部活動等の模範とならなければいけないことも理解する必要がある。」と話があった。アメリカの大学では新学期が開始となり、寮が解放され学生達はパーティーを行い感染者が急激に増加したという例もある。監督の言葉からは、「自覚ある行動をしなさい」というメッセージだと受け取ることもできる。

コーチ、選手ともに検温が義務付けられている

2メートル以上距離を保ちながらのミーティング


練習内容

 練習が開始されると、距離を取りながらのウォーミングアップが行われる。その後は筋力トレーニングとなるがトレーニングルームは現在も閉鎖されているため、工夫を凝らしながら行われている。各自、コンクリートブロックを二つ購入しグランドへ持参することが求められており、こちらも他人との共有は厳禁。このブロックを使用しスクワットなどのトレーニングを行っている。

 

初日のキャッチボール時には選手全員に新球が支給された。そして、キャッチボールパートナーは今年中は同じ相手と行うよう決められておりその相手以外とのキャッチボール及びボールの共有は禁止されている。また、その日使用したボールは必ず使用後消毒し、次の日にはもう一方のパートナーのボールを使用することになっており、二日連続でボールを使用してはいけない。かなり厳格に管理されている。その他、ノックやフリーバッティングも実施しているが、ノックを打つ人やバッティングピッチャーは固定の人物が務めており、可能な限り人との接触を抑えるようにしている。練習後にはすべてのボールを消毒しなければならない。

コンクリートブロックを使用してのトレーニング

使用したボールは全て消毒


選手のコメント

 実際にこのような状況下で練習に励む学生はどのような心境で臨んでいるのだろうか。マーセッドカレッジ野球部の日本人留学生、大山盛一郎(沖縄・興南高校出身)に話を聞いた。

 

シーズン中、3月に急遽シーズンがキャンセルとなり約6ヶ月グランドで野球が全くできてない状況が続いていました。自粛期間は先が見えない状況だったので不安でした。また、トレーニングジムも閉鎖されていたり、グランドも使用できない状況だったので、自分でトレーニングする時間を決めて、ランニングしたり近くの公園で懸垂したり、出来ることはあったので毎日体は動かすようにしていました。現在はまたこうしてチームとして練習を再開できたことはとても嬉しく思います。 今はまだ色々な規制もあり、以前のような練習はできておらず、短い時間ですが、あるものを工夫し効率の良い練習ができていると思います。 約6ヶ月の間、野球再開の目処も立たず、またオンラインということもありチームメイトとも会うことのない中、何をモチベーションにして良いかわからない時もありましたが今はチームメイトに会えること、また一緒に練習できることがとても楽しいです。


 以上が現在のマーセッドカレッジ野球部の状況である。世界の中でもCOVID-19の感染者が多いアメリカではいまだにオンラインで授業が実施され、スポーツの大会は中止となっている。中には2021年春学期のオンライン授業を表明している大学もある。このような状況下ではあるが、徐々に日常を取り戻そうと動き出している側面もある。マーセッドカレッジの部活でも野球部が初めての再開ということで、野球部の状況次第では他の部活の再開もあり得る。仮に感染者が出てしまった場合は他の部活も引き続き活動の停止を余儀なくされるだろう。したがってこの現在の野球部の練習にはそういった側面もあることから、細心の注意を払って行われている。今後もアメリカおよびマーセッドカレッジの状況がどのように変化していくのか、注視していく。また、一日でも早く日常が戻ることを切に願っている。

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