例えば、あなたの友人が “アメリカで野球をする” と言ったら驚くのではないだろうか。
なぜか。それは、“アメリカ+野球=メジャーリーグ”を連想する人が多数いるからだろう。
日本人がメジャーリーガーになるには、絶え間ない努力を経てプロ野球選手になり、さらに球団で実績を積んだのち、メジャーリーグ球団へ移籍するという順序が一般的だ。
そういったことから、アメリカで野球をするということ=ハードルの高いもの、と思われている人も少なからずいるのではないだろうか。
しかし、メジャーリーグでなくとも、野球の本場であるアメリカで真剣に野球に打ち込むことは可能である。
その1つの方法として考えられるのが留学だ。
アメリカに留学し勉学に励みながら野球に打ち込んでいる学生が、ここマーセッド大学に在籍している。
現在野球部に所属している 勝 大也(カツ ダイヤ)さんは、2017年3月マーセッド大学語学学校に入学。同年秋に大学入学条件である TOEFL IBT 450点を見事突破。マーセッド大学への入学と共に野球部へ入部した。そして今シーズン、ロースター入り(一軍に登録される25人の選手)を果たし、攻守ともに選手としてチームの勝利に貢献している。
今回はインタビュー形式で、彼のこれまでの道のりとロースター入りに対する気持ちに迫った。
―― いつ頃から野球をされているのでしょうか?
「父親とのキャッチボールがきっかけで、小学校3年生から始めました。」
―― 現在大学の野球部で活躍されていますが、中・高校時も活躍されていたのでは?
「中学生のときは野球部が新設されたばかりで、僕たちの世代が実質1期生でした。グラウンドもなくメンバーも9人しかいなかったため、練習は大変でしたね。高校生になるとまわりのレベルも高くなり、なかなか試合に出る機会がありませんでした。自分のチーム自体は春・夏ともに千葉県ベスト4入りを果たすことができたのですが、怪我や実力不足が原因で、ベンチで悔しい思いをすることが多かったです。」
―― 様々な挫折があり今に至るのですね。なぜアメリカへの進学を決めたのでしょうか?
「大学受験シーズンを向かえ、野球部の同期で主力のメンバーが次々に大学から声が掛かるようになり、自分は野球で大学を目指すことは難しい、と感じるようになりました。それを考慮しながらもう一度大学について真剣に考えた時に、自分が日本の大学に進学しても、将来充実した面白い人生になるだろうか、物足りないのではないか、と思い始めました。そこで詳しくリサーチをしていくと、自分の出身高校である千葉経済高等学校がY.E.S.と提携をし、アメリカへの留学が可能ということがわかりました。」
―― そこでアメリカだったら野球に挑戦できると思われたのですね。
「いえ、あくまで 英語第一 を意識しています。留学とともに自分の将来について考えた時、英語+野球は大事にしていきたいと思いました。その結果、“野球の通訳”という職業を目指そうと。またアメリカでは、成績や様々な活動への取り組みによって奨学金が獲得できるチャンスがあるため、常にチャレンジ精神を持ち、自分の目標に向かって精一杯打ち込める場所であると感じました。野球で勝負するのではなく、勉学や英語を意識して取り組むと心に決めています。」
―― 野球部へは最初から入部しようと決めていたのですか?
「はい。野球が大好きですし、大学のコミュニティに入って英語でのコミュニケーション能力を養いたい、と入学前から考えていました。」
―― 実際にプレーをされて、日本とアメリカの野球の違いは感じましたか?
「いくつかあります。例えば、ミスプレーをした場合、日本では監督や仲間が ”どうしてあそこでああ行ったんだ!“ と怒りから入るのが多いのに対し、アメリカでは ”今の判断も良かったけどあそこでこう行ったらもっと行けたな“ と失敗を受け入れ、さらにプレーをより良くするためのアドバイスをくれます。この違いは自分にとって大きく、常に向上心をもって練習や試合に取り組めます。また細かい部分の違いですと、アメリカのボールは滑りにくく、ストライクゾーンも日本に比べて広く感じますね。」
―― 練習量などは日本に比べて大変でしょうか?
「そうでもないです。高校生の時の方が大変でした。練習量はそこまで大変ではないですが、やはり英語が一番乗り越えなければならない壁となっています。部員は私と同じような年代なので、日本の教科書では習わないような英語のスラングをよく使います。部活内での省略語などもあるため、日々英語を上達させなければ、と感じています。また、日本がチームプレー、連携プレーを武器にしているのに対し、アメリカは個の力を活かして勝負するスタイルです。特に、アメリカ人の身体能力から出る圧倒的なパワーには驚きました。」
―― 日々の練習で心掛けていることがあれば教えてください。
「“積極的なコミュニケーション”は、円滑な試合運びに必要なだけではなく、英語を上達させるうえにも不可欠なことなので、日頃から強く意識しています。また、自分自身のレベルアップとして、“思い切ってプレー”、“言われたことをキッチリできるように” など気持ちの面を常に心掛けています。」
―― 今シーズン、ロースター入りを果たしました。率直な感想をお願いします。
「シンプルに嬉しいです。自分が今まで取り組んできたことがこのような形で実ったということは、次に繋がる大きな一歩になったと感じます。しかし、いつまでもレギュラーとして出場させてもらえるわけではありません。現在シーズン中ですが、少しでも気を緩めばこれからの試合に一度も出場させてもらえないこともありえます。ロースター入りで満足せず、チームのために自分は何ができるかを今一度見つめ直して、少しでも多くの試合にレギュラーとして出場、活躍できるよう精進していきます。」
―― 今後の目標を教えてください。
「勉学面では、高いGPAをキープし4年制大学に編入することです。特に英語はスラスラ話せるように努力するのはもちろん、文法など細かい部分も意識していきます。野球の面では、個人の目標は“チームの中で一番ヒットを打つ・スタメン確定”、チームの目標はカリフォルニア州チャンピオンを目指しています。この目標を達成するために、勉学と部活ともに意識を高く持って取り組んでいきます。」
今シーズン、ロースター入りを果たした勝さん。
“野球の通訳”という明確な将来の目標、それに向かって何が必要かを考え実行する彼の行動力や努力が、ロースターに選ばれた1つの大きな要因だろう。
勝さんの勉学や野球に対する姿勢が周りに伝わり、マーセッド大学野球部がカリフォルニア州チャンピオンになる日が来るのもそう遠くはない。
例え小さな目標であろうと大きな目標であろうと、勝さんのように“明確な目標”を持つことが大切だ。彼のように、様々な場面においても、積極的に挑戦する気持ちを忘れないでほしい。
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