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【野球留学】鈴木聡真

 

「アメリカで野球と勉学の二刀流」

 

 野球大国と呼ばれるアメリカ。この地で野球をしてみたいと思う人は少なくない。しかし、アメリカの大学では文武両道が徹底されており、GPA(評定)2.0を下回ると部活動に参加することが許されないのだ。アメリカという慣れない環境でも目標を忘れず、野球と勉学を二つの柱とし、その両立に奮闘努力している学生がマーセッド大学にいる。今回は野球留学に挑戦している 鈴木聡真(スズキ ソウマ) 君の特集である。

 

  

 小学1年生の時に兄の影響で初めて野球と出会い、その瞬間から彼の野球人生が幕を開けた。ひたすら野球に打ち込んでいた彼に一つの光が差し込む。それは彼が小学校4年生の時、知人が開催していた英語教室であった。そこで遭遇した未知の言語は、彼の心を掴み、離すことはなかった。しかし、当時の彼にとってアメリカへの留学は夢のまた夢であり、小学校、中学校では野球に精を出す傍ら、英語を得意科目とする一般の生徒であった。ところが予期しないタイミングで彼は人生のターニングポイントに差し掛かる。高校在学時、厳しい野球の練習に耐えていた彼は、在学する高校とマーセッド大学が提携校であることを知った。これまで漠然と好きなだけであった英語が、少しだけ身近なもののように感じられた。そして、彼の進路の1つに アメリカ留学 が追加されたのだ。この思いを胸に、彼は高校の留学プログラムを活用し、初の渡米。マーセッド大学入学に向けた下見であったが、言語や環境に圧倒されると共に、留学という二文字は具体的なものとなり、彼の情熱に拍車をかけた。

 

 

 

  20184月、Y.E.Sの運営するマーセッド大学付属語学学校MCELIへ入校を果たす。2018年8月のTOEFLで大学入学条件である450点を達成。幼い頃から野球に没頭する毎日を送っていた彼にとって、このひたすら勉強を続ける日々は新鮮である一方、この野球ができない環境は決して楽なものではなかった。留学当初の試練を乗り越えた彼は、次のステージで更なる試練を迎える。

 それは冒頭でも挙げた、アメリカ大学の 文武両道 が求められる環境である。アメリカは運動の才能を持っていても、日々の勉学に対する努力を怠る者には、その才能を披露する機会を与えない。一見、厳しいようにも聞こえるが、これは学生の本望が勉学であることを踏まえた上の条件であるのだ。この高い意識も持つことが求められる環境へ飛び込む形となったが、英語に対する探求心と野球への熱意もあり、現地の大学生と共に切磋琢磨することができている。

 さらに、彼は気持ちを引き締め直し、留学前に立てた目標である 二刀流 に取り組んでいる。大学の授業について彼は、「当然のことですが、授業は英語によって進められるため、全ての説明を授業内で聞き取り理解することは非常に大変です。しかしながら、授業後は各教授への質問やクラスメイトにわからない部分を聞くことを徹底し、学習の理解を深めることに努めています。それだけではなく予習、復習の時間を確実に割くことも心がけています。」このように新たな環境への適応を始めている彼は、今後現れる高い壁も乗り越えてくれるであろう。そして、成長のための努力を絶やさず、高い意識を持ち続けてくれるはずだ。

 

  カレッジに入学、野球部への入学を果たす。彼が所属しているマーセッド大学野球部は、セントラル・バレー地区でトップを争う強豪であり、創部以来、52名のメジャーリーガーを輩出している。そのレベルで野球をする彼に、日本の野球との違いや苦戦していることについて質問してみた。

 

 1つ目は、身体能力の高さ。「最初に感じたことは身体能力に大きな差があることです。パワーでは完全に負けていると思いましたが、その反面、技術面では工夫次第で戦えるという風に思います。別の視点から勝負していきます。」

 2つ目は、連携プレーの難しさ。「言語の壁は野球にも影響し、瞬時に指示を理解することは未だに慣れません。」

 3つ目は、指導者との距離間。「これは一番大きな違いかもしれません。日本ではコーチと選手の間に見えない壁を感じていましたが、アメリカでは、個人の意思を尊重し、チームが一丸となっているように感じます。」

 4つ目は、フレンドリーなチームメイト。「練習次第ではありますが、基本的にはコミュニケーションを気軽に取り合え、チームの一員であることを日々実感しています。また、私の英語力の向上や友達作りも野球を通じて行っています。」

 

 標について鈴木君は

「野球においては、1月のシーズンでのロースター入り(公式戦に出場できる資格を持つ選手25名)。勉学では、さらに難しくなっていく授業内容に対応する為、日々の予習、復習を徹底します。」と目を輝かせながら答えてくれた。

 

アメリカで 二刀流 を目指す彼は、他の学生に比べ、時間が限られており、有効活用をすることが不可欠。忙しい学校生活の日々の中にある やりがい を見つけ、2つの軸を曲げることなく、熱い思いをたぎらせる。そして留学前、留学当初に抱いた希望を忘れず、明るい将来へ向かい、突き進んでくれることを期待している。

 


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