アメリカ農業の大きな特色でもある土地の広さ。しかし、広大な土地を所有していても、市場競争に堪え得る経済力を保持し、リーダーシップ力を発揮できなければ利益を上げるのは難しく、一筋縄では行かないのがアメリカ農業の現状です。特に、現在は肥料や飼料の値上がりが著しく、メキシコなどからの安い輸入農産物との価格競争が農業関係者を悩ませています。
今回のアグリカルチャーコラムでは、アメリカ農業のリーダーシップ教育について紹介していきます。
アメリカでは、農業教育のために小中学生から参加できる農業教育組織、4Hクラブ、また中高生から参加できるFFA(Future Farmers of America)という組織が存在しています。
アメリカの大学でアグリカルチャーを専攻する学生の多くは、4HやFFAなどの農業教育機関でのバックグラウンドがあり、それらの組織での経験を通してアメリカ農業へより深い関心を持ち、より実践的で専門的な知識と経験を求めて大学での教育を享受しています。
アグリカルチャー専攻の中には農業機械工学、栽培学、畜産学、土壌学など様々なフィールドが存在しているため、大学での専門分野を決める前段階として、FFAの活動で幅広いフィールドを経験し、専攻を決める学生もいます。
アメリカの農業教育組織
FFAとは
アメリカの学校農業クラブ連盟で、FFAはFuture Farmers of Americaの頭文字をとったものです。アメリカ50州内に州のFFA組織があり、さらに地域別に分けられたチャプターが存在します。年に数回、州内のFFAメンバーが集う総会が催され、より多くのFFAメンバー達とのネットワークを広げ、互いのリーダーシップ力を高め合います。
FFAの掲げる理念は、個々の学生がリーダーシップを持ち、農業教育を通じて教育及び職業におけるメンバーの成功を支援することです。FFAの活動には様々な職業体験をする機会が設けられ、メンバーの興味を引き出すとともに、幅広い分野を学びメンバーの将来の経験値に繋げています。
4Hとは
アメリカ合衆国農務省の管轄下にある青年農業クラブ(組織)で、4Hの名前の由来は“Head, Heart, Hands, and Health”の頭文字のHを取ったものです。クラブは各州の地域、コミュニティカレッジや4年制大学と連携して、4Hメンバーが実践的な農業を学ぶことができる機会を設けています。
4Hの理念は、実践を通して学ぶことであり、より良い生活について活動を通して考えてゆくことです。FFAは中高生を中心とした組織ですが、4Hクラブは8歳から18歳までが対象、また5歳から7歳の子供を対象にしたプログラムも行っています。
いかがでしたか。アメリカ農業における青少年へ向けたリーダーシップ教育は将来の農業家たちの経済力を養う為だけでなく、数多くの農業に携わる事業、そして日常生活にも結び付いていくのです。そして、豊かな知識と経験が今後、彼らの進路を決めてゆくカギになるでしょう。
また、農業を学ぶことはより良い消費者を育てることにも繋がる為、アメリカの食品の生産から流通を知る良い機会としても、これらの組織は多くの学生から支持を得ています。
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