アニマルサイエンス留学生が3奨学金を含む4冠達成。快挙の裏側に迫る(2)

 

 マーセッド大学でアニマルサイエンスを専攻する植木沙英さん、アメリカの年度末に当たる5月に3つの奨学金を含む4つの賞を受賞した。一度にこれだけの奨学金を受賞することは、留学生としては初、現地の学生にとっても困難な快挙達成となった。 

 

  前回は、植木さんがクラブ活動と動物園や大学でのボランティア活動を通して行ってきた活動が今回の奨学金獲得にどのように結びついたのかについてご紹介した。今回は、植木さんが学生の本分である学業と、日常生活においてどのような姿勢を持って留学生活に臨んできたのかについて紹介したい。留学生活に対する姿勢に迫ることで、4冠獲得の秘密が見えてくる。


学業を通して

 マーセッド大学は、アグリカルチャー(農学)の分野において、コミュニティカレッジとしては無類の強さを誇る。地域柄から農家出身のが学生が多く、大学自体も巨大な農業設備を完備している。植木さんが専攻するアニマルサイエンス(動物科学)は、プラントサイエンス(植物科学)や園芸学とともにアグリカルチャーの学部に属している。専門的な単語や知識を必要とするアニマルサイエンスのクラスでは、現地学生の二倍、三倍の勉強時間が必要だったという。農業のバックグラウンドが無い植木さんには、留学生としての言葉の壁もあった。それでも、授業外では課題の他に教授が授業中で話す内容について自分でリサーチを行うことで、このハンデを補ってきた。

 また、アニマルサイエンスのテストは全て穴埋めの問題になっており、スペルを正しく書くこと、英語で専門用語を理解した上で、英語で説明することが求められる。もちろん、留学生にとって英語で専門用語を説明するということは簡単なことではない。大学が無料で提供しているチュータリング(個別指導)制度や、教授のオフィスアワー(個別面談)の機会を利用し、理解できない部分、説明が難しいものなどを質問し、マンツーマンの指導を受けることで知識を吸収していった。

 独学で、あるいは大学の制度を利用し、分からないところを一つずつクリアしていく、こう書いてしまえば簡単な作業にも見えるかもしれないが、その行動力は留学生にとって常に課題となるものである。いくら自分で学ぶことができる技術や環境が揃っていようと、自らを奮い立たせて行動に移すことができなければ、例え同じ環境で留学生活を過ごしていたとしても、得られるものは非常に限られたものとなる。前回ご紹介したように、ボランティアやクラブ活動の場に飛び込んでいった植木さんの行動力は、学業の面でも大いに活かされたのである。

 


交流を通して

 ボランティア、クラブ活動、勉強と、一分一秒が惜しいという姿勢で活発な活動を続けてきた植木さん。では、休日や課外での交友の面ではどうだったのか。

 植木さんは、土曜日にはマーセッド大学から車で10分の距離に位置する4年制大学・UC Mercedへ行き、UCの学生との交流や勉強会を行っている。4年制大学に通う学生の勉強に対する意識の高さを身を以て実感し、自分のモチベーションへ繋げている。また、日曜日には教会へ通い、地域の人々との交流を楽しんでいるという。このように大学や地域の団体のイベントに積極的に参加することで、交友の場を増やしてきた。

 そんな植木さんだが、留学当初は消極的になりがちで、友人ができずに悩んだ時期もあったという。現在の活発な活動とその領域の広さは、勇気を振り絞って、「最初の一歩」を踏み出し続けた結果に他ならない。

 TOEFLの点数やGPAの高さだけを追い求めていては、今回の結果には辿り着けなかっただろう。数字を残すことは当然のこととして、更に積極的な姿勢で日常生活に取り組み、チャンスをものにしていく−−そうした姿勢で日々に臨むことができる学生は、どんな国であろうと生き延びていくことができるだろう。それこそが、「グローバル人材」ということではないだろうか。

 「自分から行動することがとても大切なことで、自分のやりたいことを自分から相手に伝えてなければ理解してもらえない」。そう語る植木さんの目は、既に4年制大学編入という次の目標に向いていた。


 

植木さんが受賞した奨学金・賞

 

・Certificate of Merit in the field of Animal Science

 

・Sagebush Memorial Scholarship

 

・Alpha Gamma Sigma Scholarship

 

・Melissa Smith Scholarship



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